恵子の研修日誌

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雑記03/09/16
30日間の研修を無事に終え、恵子さんは、甲府を離れた。
家族の皆もちょっと元気がなく、寂しい一日だった。
最後の収穫に向かう途中で、自宅の裏のお宅が火災になり、
急遽帰宅。まだ慌しさの残る中での帰りの身支度。そして、お見送り。
最後に交わした握手とあなたの素敵な笑顔からは、
初対面のときの緊張した面持ちと違い、
ちょっとだけ、たくましく成長し、
物事をやり遂げたことに対する充実感が漂っていた。
あなたにとって、貴重な30日間だったかもしれないが、
本当は、それ以上に私たち家族にとって忘れられない日々でした。

今、リアルタイムで書き残した恵子の研修日誌を読み返し、
受入れ農家として、十分なサポートができたか疑問ではあるが、
ここに無事、農村派遣研修が終了したことをご報告します。

山梨があなたの心の故郷として、在り続けますように。

03/09/15
今日は地場産業祭りの最終日でした。
30日間の農村派遣研修も移動日の明日を残して今日が最後になりました。
初めの一週間は作業に慣れず長く感じましたが、
振り返ってみるとあっという間の30日間でした。

池川さんご夫妻とご家族の皆様には本当にお世話になりました。
ありがとうございます。
農作業経験も知識もないわたしを親切に受け入れていただいて
本当にありがとうございました。

ちょうどこの時期の30日間研修させていただいて、
栽培管理から始まって、収穫・出荷作業、地場産業祭りでの直販まで
一連の流れを通して勉強させていただくことができ、とても運が良かったと思います。
また、池川さんのような若手でしかも栽培についても一流の技術があって
販売についても、画期的な手法で右肩上がりの展開をみせている活力ある農家で
研修することができたことも非常に運が良かったです。

今回の研修でいちばん印象に残ったことは、農場へ行く途中と作業が終わった夜に
池川さんといろいろな話をしたことです。
もちろん摘粒作業、マルチの被覆作業、芸術品のようなピオーネも印象に残りましたし
ITを駆使した栽培情報公開や顧客データ管理の手法や
直接注文を受けて発送する販売方法も印象的でしたが、
池川さんの話して下さることや何かの話題について聞かせてくださる意見や考え方が
いちばん勉強になったと思います。

「話して下さった内容」というと非常に抽象的ですが
人材そのものがいちばん価値あるものなのだということがよく分かりました。
研修へ来る前に上司が「自分が行った当時先進的な取り組みをしていた研修先の農家が
最近行ったところまた新しい取り組みをしていた」ということを教えて下さいました。
池川さんはこれまでも独自の考え方でブドウ栽培・販売を行っていらっしゃって
今の体制を築いていらっしゃり、これからも次々と新しいことに取り組んで
行くのだろうと思います。
現在のすばらしい体制を作り、今後さらに展開して行くと予想される池川総合ブドウ園の
活力の源は池川さんという「人」の考え方と実行力だと思います。
その池川さんのお話を毎日聞いていろいろ勉強できたことは本当にありがたいです。

池川さんはブドウ栽培について哲学のようなものを持っていて、
それだけでなく日本の農業全体についてもいろいろな意見を持っていらっしゃって
非常におもしろかったです。

特に、栽培管理について詳しく情報公開をしていることについて池川さんが話して下さったことでおもしろいのが
情報とは「情けに報いる」と書くということです。
その意味ですが、池川さんのブドウ栽培は一人一人のお客様がブドウを買って下さることで
成り立っていますが、そのお客様の恩に報いるために必要な情報を公開しているのであって
情報公開とは義務でもなく高付加価値化のためのネタでもなく当然の顧客満足のための
「情けに報いる」位置づけにあるとのことでした。
今後、日本の農業は「情けに報いる」という考え方に沿ったものになって行くのかなと思いました。

今回の研修で勉強したことを糧にまた明後日からまたがんばって仕事をしたいと思います。

03/09/14
今日も引き続き地場産業祭りで直売をしました。
また、敬老の日の贈り物にブドウを注文する方がいらっしゃるので発送作業もしました。

発送や直売をする日は(ほとんど毎日ですが)朝早く収穫作業をします。
そのときに他の農家のブドウの畑をちらちらと見ることがよくあるのですが、
畑はその人の人格が非常によく現れると思います。
先週の山梨日日新聞の投稿欄に非農家で農村に住む方から一言寄せられていて、
ブドウ農家はカサ紙が飛んでこないようにきちんと管理して欲しいという要望でした。
カサ紙を片付けていない農家は少ないですが、
今日よく見ていたら片付けていない畑が一箇所ありました。
畑を見るとその人の性格や人柄が想像できるというのは面白いことだと思いました。

03/09/13
今日は地場産業祭りの初日でした。
いつもの土日と比較して倍以上の人出で、大忙しでしたが
活気があって、暇にしているより疲労感が少なかったです。

お祭りということで1階から3階までたくさんのお店が出ていて
2階の手作り工芸品売り場では観光地の清里で売っているような
かわいいモノがたくさん売っていて、お得な価格で売っていたので
置物などをついたくさん買ってしまいました。

2,000円のお買い上げにつきくじ引きができる抽選コーナーでは
山梨県の伝統工芸品の印伝が1等だったのですが、
池川総合ブドウ園でお買い上げいただいたお客様がたまたま当たったらしく、
喜んでいただけてよかったです。

今日はジャムを今シーズン初めてお店に出すことになりました。
千加さんの提案で、お土産用にかわいらしく袋に入れたのが功を奏して
一人のお客様で大量に買って下さる方がいました。

味については、パンにつけて試食していただきましたが、
お客様によってだいぶ反応が違いました。
まだ出始めなので酸味が多少あるのですが、
この酸味を食べやすいとおっしゃる方とすっぱ過ぎるとおっしゃる方がいて、
好みと言ってしまえばそれまでですが、何人かのお客様に
100%ブドウだけで作ったできたてのジャムの
新鮮な風味が分かっていただけなかったのはちょっと残念でした。

しかし、大多数のお客様には「甘過ぎなくて食べやすい」「おいしい」という
感想をいただいて、このジャムのファンになっていただけたのではないかと思います。

03/09/12
今日も収穫・出荷作業をしました。
毎日かなりの量を発送している気がしますが、
予約の伝票もブドウも全く減っているように感じられません。

今日は明日からの地場産業祭りに向けて会場セッティング等の準備をしました。
地場産業祭りに向けて加工をお願いしていたジャムも中部食品さんから届き、
早速今年のベリーAジャムの出来ばえをお味見させていただきました。

ジャムはまだシーズンの初めということで酸味がありましたが、
きつい酸味ではなくやわらかい酸味なので、逆に甘すぎずたくさん食べられていいと思いました。
また、市販の甘すぎるジャムと違って、ブドウのフレッシュな感じが伝わってくる
素材の持ち味を生かしたさわやかな風味があってすばらしい出来だと思いました。

03/09/11
今日も収穫・出荷作業をしました。
出荷作業の途中で、今回の研修の窓口になって下さっている
市長会の方が研修の様子を見に来て下さいました。
たくさんの方に支えられて研修をさせていただき、大変ありがたいことだと思いました。

出荷作業と同時に、入金済みの郵便振替票の整理をしますが、
振替票の通信欄に「この天候で心配しましたがおいしかったです」
といった内容のメッセージがよく添えられています。
池川さんはこのメッセージが非常に栽培の励みになるそうです。

最近は地産地消による流通経路の見直しが注目されていますが、これには
生産者の顔が見えることによって安心して農産物を購入することができる
というメリットがあるそうです。

池川さんの場合、顧客が全国に展開しているので地産地消ではありませんが
直販ということで、消費者との関わり方が直接的であるという点で、地産地消に類似しています。
「おいしかったです」といったメッセージや地場産業センターでのお客様との話の中で
池川さんはどんどん市場ニーズを研究しています。
どのようなニーズがあるかを検討し、経営に反映させて、その結果が直接的に
評価される仕組みで農業経営を行っていらっしゃいます。
このように、栽培している農産物にどのような市場性があってどのように消費者ニーズに応えて行くかを
検討することは、当たり前のようでいてこれまでの農業経営にはやや欠けていたものだそうです。
これからはこのような感覚が農業経営で重要になって行くのだと思いました。

03/09/10
今日は朝一で収穫後の防除を行いました。
収穫後の防除のことを「お礼防除」というそうですが、
池川さんの農場で収穫後に防除を行うのは十数年ぶりだそうです。
やはり今年の異常気象から、今は健全な葉色をしていますが、
本当はかなり葉も疲弊していて、ベト病などに感染している可能性も高いためだそうです。

この防除作業が終わったあとパラパラと雨が降りました。
まったく予想していなかったのでせっかくの作業が無駄になるのかと心配されましたが
すぐに止んだので何とか助かりました。
天気予報は本当に当てにならないです。

今は収穫・出荷作業の時期ですが、収穫のタイミングも去ることながら、
来年に向けた樹の状態を池川さんは気にしているようです。
ブドウは収穫できるようになるまでに時間がかかりますし、
収穫できるようになっても今年の枝が来年の枝に影響するので
管理は非常に難しいと思います。
常に5年〜10年先を考慮しているそうです。

5年〜10年という年月を考えるとブドウ栽培の大変さがよく分かります。
今年の収穫も戦略をもって樹に負担がかからないように行う必要がありますし、
来年に影響がないように、樹の管理も収穫。・発送と同時並行にやっていく必要があります。
収穫・発送作業に忙殺されて栽培管理に手が回らないようではうまく行きません。

ブドウ栽培は、常によく樹を観察して、樹が発している信号を読み取って
的確に対処することが重要だそうですが、池川さんは5年〜10年という時間の単位で
ブドウ栽培を行っているので、本当によく樹を観察していらっしゃいます。
農場をどのようにして行くかを真剣に考えていらっしゃっていて、
栽培についてだけでなく、経営者としてどのようにブドウを販売して行くかについても
独自の哲学をもっていらっしゃいます。

栽培や経営について真剣に取り組んで常に創意工夫をしていらっしゃる池川さんの農業に対する姿勢は
農村研修で農業の勉強をしているという以上に非常にいい人生勉強になります。
農業にしても他の職業にしても、努力して行くことが重要だと思いました。

03/09/09
今日も収穫・発送作業のお手伝いをしました。
収穫に行く途中、河野さんというブドウ農家の方のお家に立ち寄りました。
河野さんには以前に苗木を育てているところを見せていただいたことがありましたが、
池川さんがおっしゃるには河野さんはハウス栽培を取り入れたり積極的に新しい取り組みをしており、
この地域の中で、非常に活力のある農家のうちの一つだそうです。

河野さんと池川さんは、今年のブドウの色着きについて、話し合っていました。

境川のピオーネの色の具合は、一週間前に袋かけをしたとき予想していたよりも多少遅れています。
ピオーネに限らず、ブドウはまず枝の先端から色が来ます。
また、細い木や若い木など、樹勢の弱いものが早く色が来るそうです。
今日は色付きと味を確認しながら収穫して行きました。
色付きの悪いものは発送できる数に限りがあるので残します。
色が来ていなくても、酸味が抜けたものは味も十分仕上がっていますし、
それ以上色が来ないということで収穫しました。
色が来ているものや味の仕上がっているものは、樹勢がやや弱い木である場合が多いので
収穫して負担を軽くしてあげるのが木のためにもいいらしく、
順に収穫していくというのは合理的だなと思いました。

河野さんのような活力のある人とお話をさせていただくと非常に元気が出ます。

03/09/08
今日は発送作業のお手伝いとジャム用のベリーAの収穫のお手伝いをしました。
ジャムは今年第一号の加工で、今週末の地場産業祭りで販売するそうです。

03/09/07
今日も地場産業センターで直売のお手伝いをしました。
9月に入って始めての日曜日だった今日は、人の入りがよく
ブドウがまさに飛ぶように売れました。追加で収穫をしに行ったほどです。

地場産業センターでは粒が小さいものや房の形のくずれてしまったものを
非常にお得な価格で販売しています。
お客様には、実際に商品のブドウを見ていただき、試食していただきます。
値段の安さにも満足していただいて全ての点で納得の上で買っていただいています。
栽培されるブドウ全てが「特選」級のものになる訳ではないので、
少し房の形が悪い程度ならそれをお客様に食べていただけることは
生産している側から見てもありがたいことですし、お客様にとっても
手頃な値段でブドウを食べることができて嬉しいことです。

このようなお客様とのいい関係・いい循環を生み出していることが他にもあります。
例えば、防除のために農薬を使う場合、何の基準もなく農薬散布回数を減らすのではなく、
池川さんは栽培情報を公開することでお客様に対する説明責任を果たしています。
必要なときには適正に使用するけれど、必要以上の農薬散布は情報を公開するという行為の義務付けにより
一定の歯止めをかけることができる効果があるそうです。

房形のあまりよくないものを安価に販売してムダをなくすことや農薬防除をできる限り少なくしつつ
必要なときには使用するという消費者・生産者両者が得するこのこれらの例は、
生産者の消費者へのアカウンタビリティーとそれによる両者の信頼関係から生まれているような気がします。

03/09/06
いつもの土曜日と同様に今日も地場産業センターでの直売のお手伝いをしました。
その後、善光寺町にあるサドヤ農場に行かせていただきました。
サドヤ農場は、サドヤ醸造場のワイン原料を生産している歴史ある農場だそうで、
広大な傾斜地の農場に、開墾当時のままに石積みが残っていました。
山梨県のブドウ栽培の歴史を伝える農場ですが、栽培管理が非常に労力がかかるそうです。
この歴史ある農場でブドウ栽培を続けていくことは作業効率の点で非常に厳しいですが、
山梨のすばらしい歴史を伝えるものなので、残って行って欲しいと思います。

03/09/05
今日はイズミ農園
の梅津鐵市社長に会うため、大泉村に行ってきました。
梅津社長は、池川さんのブドウ栽培に大きく影響を与えている方で、
すかいらーくグループと提携し、全国約千戸の農家を指導して
独自の栽培方法で生産した野菜を集荷・出荷する取り組みを行っていることで有名です。

梅津さんの農業への考え方のうち、
1.販路を意識した栽培
2.土作りからの栽培
3.一農家の利益だけでなく、NPO法人によるグリーンツーリズムの取り組み(03/08/20に勉強会に参加させていただきました)
  のような目先の利益に捉われない活動に新たに取り組む姿勢
等が池川さんのブドウ栽培やその他の活動に影響を与えているようです。

土作りからの栽培といった栽培方法についてのお話以外に、
これからの農業の展開について社長の考え方を聞くことができました。
特に、研修テーマであるトレーサビリティーについては
梅津さんはまず最初にアカウンタビリティーが必要だとおっしゃっていました。

アカウンタビリティーを果たすためには各農家が栽培管理の情報を記録する必要があります。
そのためには各農家に記録することを義務付けて普及する必要がありますが、
農家の高齢化が進んでいることやそれぞれの農家の資質等、なかなか難しいのが現状です。
現在、後継者不足が懸念されていますが、今、農業生産の主翼を担っている世代が交代すれば
新しい取り組みをより導入し易くなるのではないかと楽観的な考え方を梅津さんに言いましたが、
新規参入、規模拡大や法人経営の難しさを指摘され、考え方の甘さをつかれました。

梅津さんは日本の農業はもうダメだと盛んにおっしゃていましたが、
帰ってから池川さんが、そうはいっても最も新規参入等に力を入れて取り組んでいるのは
梅津さんだとおっしゃっていました。

03/09/04
今日は昨日と比べると暑さはそれほど厳しくなかったものの、
境川農場の草刈のお手伝いはつらかったです。
ただ、そのあと「奥野田葡萄醸造株式会社」(ワイナリー)と
三森さんという方が経営する「ぶどうばたけ」に行きました。

ワインについて全く知識がないのですが、
勝沼町では戦前既に「ブドウ酒」作りを地域の農家が集まって行っていたそうで、
その当時からある伝統ある醸造用の蔵を見せていただきました。

勝沼で昔から作られているワインの味は和食に合うそうですが、
三森さんのおじいさんのお話では和食を普段食べている農家が集まって、
試行錯誤しながら作るので和食に合うものができるのは当然だということでした。
山梨のワインは戦時中
潜水艦や魚雷を探知するための水中聴音機の素材として
軍需品として保護された歴史があるそうです。

奥野田葡萄醸造株式会社さんはブドウ作りから取り組んでいるワイナリーで、
そのブドウ作りについて池川さんからアドバイスをもらっているそうです。
池川さんのアドバイスで、土作りから行うブドウ栽培を行っていて、
試食させていただいたら、普通ならワイン用の品種なので酸味が強いはずなのですが、
ほのかな甘みが残る特有の味がありました。

03/09/03
今日は日中発送作業のお手伝いをして、
その後、
中巨摩郡敷島町にある小林牧場の
堆肥センターを見学させていただきました。

小林牧場はワインの絞り粕を給餌する方法で甲州ワインビーフというブランドの牛を
1,300頭飼育しており、山梨県で生産頭数20%のシェアを誇る大規模経営の牧場です。
小林牧場の堆肥センターでは、この牧場で毎日約20t発生する畜産糞尿を
約80mの長さの大規模な発酵ラインで処理して、
その後切り替えしによる熟成を行う方法で、堆肥を製造しているそうです。
池川さんがブドウ栽培にこの小林牧場の堆肥を使っているつながりで
今日は小林牧場にお邪魔させていただきました。

小林牧場では、ラインを見せていただいて、切り替えしをしている堆肥を触らせていただきました。
発酵が活発に行われているらしく、熱かったです。内部は約60℃だそうです。

小林牧場でもトレーサビリティーの考え方を聞かせていただきましたが、
「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」の施行に先立って
耳標を付けたり電子媒体による記録を行って先手先手の対応をしているということでしたが、
やはり事務作業の増大になかなか対応できないということもおっしゃっていました。

池川さんのトレーサビリティーの考え方はリアルタイムは現実的でないというものです。

03/08/28
にトレーサビリティーの困難性をいろいろ考えたのですが、

確かにトレーサビリティーは「遡ることができる」データ管理を行うというもので、
リアルタイムで情報公開するとうい趣旨ではありません。
ただし牛肉の場合は法律に従って「固体識別番号」の表示が義務付けられます。
事務作業の困難さを考えると、どのようにすればトレーサビリティーシステムを
現実路線でその趣旨にかなうものに確立することができるのか考えさせられました。

03/09/02
今日も引き続き反射マルチを地面に被覆する作業のお手伝いをしました。
この作業はマルチを伸ばしてマルチ止めで固定するだけなので、
簡単だろうと見くびっていましたが、実際やってみると重労働でした。
甲府の最高気温が33.8℃にまで上がったというのも影響しているかもしれません。
今日は農場に着いた瞬間、あまりの暑さに驚きました。
その代わり作業が終わったあとに飲んだ水は、最高に美味しかったです。

農作業はかなり体力のいる仕事ですが、体力だけではできないんだということが
池川さんのところで研修させていただいていてよく分かります。

発送のための事務作業のやり方も複雑なのでとても神経を使いますし、
ホームページを管理するためのパソコンの知識も必要です。
さらに税務関係の知識も必要になるそうです。
ここまでは小さな会社がやっていることと同じようなことですが、
農業の場合は、これに加えて栽培管理の技術や知識が必要です。

ブドウの栽培管理の知識は、初めて聞くとほとんど化学の授業のように聞こえます。
ブドウの葉が葉脈を残して茶色くなっているとマグネシウムが欠乏している状態だそうです。
これを改善するにはマグネシウムだけを施肥してもダメで、
カルシウムも一緒に施肥する必要があるそうです。

お話をうかがっているとこういった栽培に必要な知識が大量にあって、気が遠くなります。
農業はとても難しいものだと考えさせられました。

03/09/01
今日はピオーネの発送作業のお手伝いと
反射マルチで地面を被覆する作業のお手伝いをしました。

ここのところ注文が相次いで、ご予約のお客様も含めて発送作業が忙しくなっています。

半月前まだ来たばかりの頃と比べると境川農場のピオーネは酸味が取れて糖度が増して
どんどんいい状態に仕上がってきているので、
このおいしいピオーネがあと少しでお客様の手に届くのかと思うと楽しみです。

反射マルチは白い紙のような質感の新素材で(デュポン社製のタイベック)、
太陽光を地面から反射させて赤い品種であるロザリオ・ロッソを発色させる
効果があるそうです。(ちょうど川辺の桜が早く咲くのと同じような効果でしょうか。)

そのままでも十分仕上がりそうなブドウに
手間と時間とお金を(反射マルチは少しコスト的に高いようです)かけて
ずいぶん丁寧に仕上げるんだなと改めて思いました。

03/08/31
今日も地場産業センターで直販のお手伝いをしました。

午後2時くらいはお客さんが次々と連続していらっしゃってバタバタしました。
お客さんから質問があると即答するが難しいことが多いのですが
知っているということを前提にして質問されるので
池川さんが席をはずすとかなり不安です。
地場産業センターでの直販は本当に大変です。

夜は池川さんのお友だちのマークが来て
ブドウ園を見た後、池川さんのお宅で一緒に食事をしました。
池川さんと話をしているとよく名前が出てくるマークと
今日は会うことができて嬉しかったです。

03/08/30
今日は、直販用のブドウを収穫する前に、
境川農場のピオーネの最終的な仕上げに向けて、
見直し摘粒と袋かけのお手伝いをしました。

明日もまた今日の作業の続きを早朝にやるそうですが、
早朝の作業は凉しくて気持ちいいです。
この日中と夜間の寒暖の差がブドウの色付きにいい影響を与えているそうです。

明日の天気予報を今見たところ曇りのち晴れでした。
天気予報の精度は、職場で仕事をしているときは
かなり高いなと思っていましたが(例えば帰る頃に雨が降る等)、
こちらに来てから実はそれほど高くないんだと実感しています。
雨と予報していたのに晴れたりということがよくあります。
明日のお天気も今日の朝までは今日のお天気より
悪いだろうと予報していたのに夜になってよい方に修正されて、
実際どうなるのかは明日になってみないと分からない気がします。

オフィスでデスクワークをするのと違って
農業にとってどれだけ天候が重要かということが分かりました。

03/08/29
今日午前中は収穫作業のお手伝いを、午後からは発送作業のお手伝いをして、
その後、境川のピオーネの見直し摘粒と袋かけのお手伝いをしました。

池川さんのお宅での農業研修も10日が経ち、集中力が途切れてきているのか、
今日は午前中の収穫作業からミスを連続してしまいました。

具体的には、(これはかなりショックだったのですが、)収穫作業のとき、
すばらしい仕上がりのピオーネを一房落としてしまいました。
池川さんが1年間丹精込めて栽培してきたブドウをダメにしてしまい、
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
池川さんが、「わたしもミスをしたことがある」と言って
なぐさめて下さったのが非常にありがたかったです。

甲州弁で見落としのことを「メノコシ」と言うそうです。
これまでも、袋かけの作業で袋をかけ忘れた房があったりして、
「メノコシはない?」といった感じで注意を促されたりしました。
でも、そのときのミスは注意していてもうっかりしてしまう
といった種類のミスで(あんな大きな房を見落とすことがあるのか!
と疑問に思われるかもしれませんが、実際作業をやっていると
たまにやってしまいます)、今日のミスは全く別次元の「気のゆるみ」
によるミスでした。

こういったミスの連続で今日は途中までは最悪の一日でしたが、
発送作業の後、境川の農場に作業に行ってピオーネを見て、元気になりました。
境川のピオーネは今日現在でどれも特選級の粒の大きさ、色、食味に
仕上がってきており、本当に芸術品の域に達していると感じました。
このすばらしいピオーネが元気を与えてくれたようです。
明日は最終的な仕上げに向けてこのピオーネの袋かけを
急ピッチで行うそうです。

03/08/28
今日はJA全農やまなしでトレーサビリティーの
取り組みについてのお話をうかがいました。
JA全農やまなしでは防除日誌の記入を各農家に義務付けており、
トレーサビリティーシステムの確立とその内容の公開に向けて
方法を検討しているそうです。

今回の研修では、青果物のトレーサビリティーの取り組みや
池川さんがホームページで行っているような栽培情報の公開に関する
テーマについて勉強しようと考えていますが、
県下の果樹出荷を相当数扱っているJAの
取り組みに非常に興味があって、今回お話を聞く機会を
与えていただきありがたいと思います。

今日うかがったお話で、トレーサビリティーシステムの
確立に向けてたくさんの問題があることが分かりました。

トレーサビリティーとはもともとは栽培・加工情報等の遡及性
のことを意味するそうですが、
何か問題が起こった場合に遡って情報を見るだけでなく
常に消費者がその情報を見ることができる情報公開の
部分まで取り組むことが現在は求められています。

しかしそのためには以下のような問題点があります。
1.農家にデータ入力を行ってもらい、データベースを構築し、
さらに消費者へ情報を公開するため方法を整備する必要があり、
コスト面でかなり負担がかかること
2.消費者がその情報をどれだけ必要としているか、消費者の満足度の点で
コストに見合うだけの効果をあげることができるのかという有効性
3.データに信用性を保つことができるか

こういった問題があるものの、取り組みを行って
差別化を図って行く方針だということでした。

個人的に考えたのはコスト面の問題もありますが、
やはり、消費者が農産物を買うたびに
そのデータをチェックできるシステムというのは
現実性がないということです。
トレーサビリティーと情報公開の効果的な方法について
考えさせられました。

03/08/27
今日は、草刈を一瞬だけお手伝いし、カサのかけ替えと袋かけをしました。

池川さんは、ブドウの草生栽培を行っていて、
今回草刈をした農場は腰の高さほども草が伸びていました。
草刈を行う理由について、最初は作業がし易いように
かと考えたのですが、理由を聞いたところ他にも理由があって、
草を伸ばしたり刈ったりすることで土壌水分を調整しているそうです。

カサを茶ガサから透明なカサにかけ替えたり
袋をかけたりするのは、温度調整や発色のためで、
ひとつひとつの作業に理由があるのだと分かりました。
作業のひとつひとつをお手伝いするのは労働としては
大変かもしれませんが、
次にどのような作業が必要かを判断している
池川さんの労力は計り知れないなと感じました。

03/08/26
今日の午前中はお天気が悪く、伝票の打ち込み作業をしました。
午後はお天気も回復し、少しだけ摘粒作業のお手伝いをしました。
今日やらせていただいたジャム用のベリーAの摘粒作業は、
これまでお手伝いさせていただいた
ピオーネやリザマートの見直し摘粒とは違って、
粒が詰まっていて難しかったです。
これまでの見直し摘粒が比較的楽だったのは
摘粒作業を何度も行った後の状態のものを
やらせていただいていたためだということが
よく分かりました。
ブドウ作りは非常に労力のかかるもののようです。

03/08/25
今日の夜は、ボーリング大会にお邪魔させていただきました。

この集まりは、甲府市青年農業者会議の方と
JA甲府市の職員の方との間の
情報交換と交流を目的として毎年開催されているそうで、
今日も多勢の方が集まりました。

ボーリング大会が終わってからは、
反省会ということで飲み会にも参加させていただき、
今年のブドウの仕上がり具合や樹の状態といった堅い話から、
若手の方が中心に集まっているので、
最近ご結婚された女性がいらっしゃって、その方のお料理のお話まで
いろいろなお話を聞かせていただきました。

この会には、若手の方だけでなく
この地域で中心的役割を果たしている方たちも
多勢来ておられて、
今日のような会は、この地域の各分野のリーダーとの
ネットワークを広げるよい機会にもなっているようでした。
こういった人的ネットワークを広げることは、
仕事を進めていく上で非常に役立つものですが、
農業分野でこういった集まりが活発になされていることは
非常に意義深いことだと思います。

特に、今日は新規就農者の方が来ておられて、
池川さんのような経験と技術力のある農業者と
交流を持つことができ、池川さんから今後いろいろなことを
学ぶチャンスを与えられたのではないかと思いました。

03/08/24
今日も地場産業センターで直販のお手伝いをしました。
なかなか作業の手順が覚えられず、あまり役に立てなかった気がします。
取り敢えず笑顔を心がけてがんばりました。

あまり役に立てなかったものの、
池川さんご夫婦がお客さんの質問に答えたりブドウを箱詰めして手際よく伝票を処理している様子を見て
お客さんへの応対の仕方や効率のよい作業の仕方を勉強することができました。
今回の学習を活かして、次回の直販ではもっと実戦力としてがんばります。

03/08/23
今日は山梨県地場産業センターで直販のお手伝いをしました。
「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」が挨拶の基本。
お客さんと直接コミュニケーションを取るのはとても楽しかったです。
明日もまたがんばります。

03/08/22
昨日同様、午前中は収穫作業と出荷作業のお手伝いを、
午後は袋かけの作業のお手伝いをしました。

作業の途中、味を見るためブドウの試食をさせてもらうことがあります。
来たばかりの頃は、ひたすら「おいしい」を連発していましたが、
昨日あたりからは、試食前に「『おいしい』以外の感想を言ってみて」と言われ、
糖度、酸味、果肉の固さ、水分等、ブドウの食味の要素を考えながら
試食をしています。
今日試食させていただいたピオーネは、まだ甘さより酸味が勝っていました。
酸味があるという感想を言ったところ、
これから酸味がなくなり、どんどん甘さがのってくるよ
という池川さんの分析でした。

それともう一つ教えていただいたことは、
有機肥料を中心として育てた農産物は、ブドウに限らず
エグミ等嫌な味が後に残らないという特徴です。
確かに、今日試食させていただいたピオーネはまだ酸味が残っているものの
食べ終わった後には嫌な酸味は残らず、ほのかな甘さが残っていました。

これまでは漠然と「おいしいおいしい」と食べていたブドウのおいしさというのは、
甘さ以外の様々な要素があり、この味を出すために栽培方法を工夫した結果、
池川総合ブドウ園のブドウは好評を得ているようです。

03/08/21
午前中は収穫作業と出荷作業のお手伝いを、
午後は袋かけの作業のお手伝いをしました。

午後は、作業に行く前に里垣小学校に行き、
総合学習の授業で栽培しているブドウの様子を見ました。
この授業は、池川さんがボランティアで手伝っているそうです。
子供たちが作業し易いように小学生の身長に合わせて低い棚になっていました。
とてもきめ細かい対応に温かさを感じるとともに、こういった取り組みにより、
将来子供たちの心にブドウ栽培の体験をしたというふるさとの思い出が
残ることはすばらしいと感じました。

午後の作業は、境川村の農場での作業でしたが、
ブドウの樹の中に虫がいるのが見つかり、池川さんが枝を切って駆除しました。
樹の中に虫がいたといっても、全ての枝がダメになるわけでなく、他の枝を伸ばして
被害を小さくするそうです。
その虫を駆除したあと、地面にたくさんの虫がいるのを私が見つけて、
「この虫は駆除しないのですか?」と聞いたところ、
「その虫はブドウに危害を加えないから駆除しない」とのお答えでした。
虫も生きていて、生態系の中の一つであり、むやみに殺すものではないという
考えなのだそうです。
理屈では分かっても、実際にそうするのは難しいことだと思います。

03/08/20
午前中、摘粒作業と袋かけのお手伝いをしました。
作業中、粒が割れている部分にハチが群がっていて、
刺されないように警戒しながら作業をしました。

境川の農場に行く途中、カブトムシが蜜を吸っているのを偶然見ることができ、
思わず童心に返って喜んでしまいました。
自然の中での農業体験のすばらしさを感じます。

午後からは、都市農山村交流型グリーンツーリズム実地研修会に
参加させていただきました。
そこでは、今年の11月23日にピーチ専科ヤマシタで開催を企画している
「あんぽ柿作り体験ツアー」に向けた話し合いが行われていました。
NPO法人「えがおつなげて」の曾根原さんの的確なアドバイスの下、
当日の企画内容のタイムスケジュールや分担が決められていきました。
様々な内容の検討が活発に行われており、グリーンツーリズムという
新しい取り組みに、期待を感じると同時に、
山梨で農家サイドとNPO法人が連携してこのような新しい取り組みを
していることに驚きを感じました。

03/08/19
この度、農村派遣研修で30日間池川さんのお宅に
お世話になることになりました恵子と申します。
どうぞよろしくお願いします。
今日、日中は摘粒作業のお手伝いと
出荷作業のお手伝いをしました。

また、夜は池川さんのブドウ栽培の取り組みを特集した番組の
ビデオを見せていただきました。
「名人この一品」では、リザマート、ベリーAやゴルビーなど
いろいろな品種について取り上げられておりました。
池川さんはこの番組で最年少での出演だそうです。

また、ブドウの品種についてのお話を聞かせていただきました。
ブドウには数万種類もの品種があり、その中から食味だけでなく
栽培条件や熟成時期等を考慮して栽培する品種を決めるという
お話をうかがい、ブドウ栽培に必要な情報量の多さに驚きました。
今日教えていただいた中で、
マニキュア・フィンガーという品種名がとてもかわいいと思いました。


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