雑感のコーナー・時々コラム

2001年その1

目次へ

新世紀を迎えて01/01/01
自分の考えをまとめ、こういう形で公開するのは、身近な人達に何か形として残していきたいと思ったからである。最初から、不特定多数の人達に情報として伝えるのとは、この点が基本的に違う。といっても公共に向けて発信している訳だからそれなりの制約やプレッシャーもある。ただ短に、日記を公開するのではなく、感性や生き方も含めメッセージとして残し、少しでも、役立つ事が出来たら本望である。こういった手法で外に向けアピールできるようになった事で、政治、社会、教育、そして、農業のあり方も変わってくると思う。

今年は?01/01/02
今年の日本はどうなるか。経済は?政治は?文化は?などと、年の初めは、どうしてもこういった予測をしてみたくなる。日本その物が問われる局面である事に間違いはない。経済は、全体の流れとして、まだ上昇には向かわないと思う。価値観が変わってきたので、無駄な消費はしないだろうし、新しい価値観に気づいた層と気づかない層との二極化は益々進むだろう。幸福は、同じ形にならないが、不幸は、どれも同じ形である。幸福と思えば、生きている事自体が最大の幸福なのにそれすら気づかない人がいる。先行き不安で悩んでいるうちには、新しい展望は、開かれない。チャンスは一杯あるが、それに気づく人はまだ一握りではないだろうか。

もう3日01/01/03
年が明けて初めて、農場を見に行った。仕事は、腰痛のため大幅に遅れている。正月は、来客もあり御年始にも行かなければならないので、仕事始めも7日過ぎになるが、今年は、ゆっくりしていられない。
兵庫の寺田からメールをもらった。彼とは、じっくり話したいと思っていたが、このコラムを時々見ていてくれるそうなので、嬉しかった。このところ、堅苦しい話が多かったが、とにかく頭に浮かんだ事を話してみるつもりだ。

長引いて01/01/04
ぎっくり腰になってから、ちょうど1ヶ月たった。こんなに長引くとは、思いもしなかった。冷静になって考えると11月下旬の腰痛が、1回目のぎっくり腰で、12月4日が2回目だったらしい。直りかかったところで、強烈なのが炸裂したため、こじらせてしまったようだ。ほとんど毎日横になっていた。まだ、腰のあたりに重さを感じる。長くたっているのが不安だ。家族の協力で大掃除も、餅つきもせず静養していたのでようやく復帰できそうだ。

冷たい風01/01/05
午前中、病院に行き、午後からちょっと剪定をした。2時間もすると腰痛と冷たい風に負けて帰宅、10分ほど横になっていたら、あら、不思議、痛みがさほどない。少しずつ、無理をせず、腰と相談しながらやれば出来そうな感じだ。それにしても、久しぶりの剪定作業、風が強くて、ホント寒かった。

剪定01/01/06
剪定とは、落葉果樹を栽培する際、落葉後、芽が出る前までに枝を切り詰める作業であるが、結構、間違って使われる事もある。トンでもない時季に、「毎日剪定ですか?」聞かれる。どうでもいい事だけど言葉は、正確に使って欲しい。生育期間中に伸びすぎた枝を切り事は、摘心(てきしん)と言う専門用語を使うが、これを剪定とは言わない、わざわざ夏季剪定というのだ。剪定は、ブドウ農家にとって冬の大事な仕事なのだ。

初雪01/01/07
夜になって、雪が降り出した。午前中、デラウエアの防鳥網を取り外した。網があると雪が積もりブドウ棚が潰れることがあるからだ。遅くとも12月に終えるはずだったが、延び延びになっていた。剪定してからのつもりが、天気予報で、雪になるようなので今日になった。面倒な作業なので、気にはなっていたが、無事に終わり、待望の雪なので、ホッとしている。冬季の乾燥は、その年の生育に大きな影響を与える。

大雪01/01/08
昨年は、観測史上初めて積雪がなかったらしいが、今年は、3年ぶりの大雪で20cmの積雪だった。’98は、重い雪が49cmも積もりブドウ棚の倒壊がかなりあった。これぐらいがちょうど良いが、これでまた仕事が遅れてしまう。今年の販売について、あれこれ考えている。収穫量も増えるだろうから、今まで以上に積極的に販売を展開するつもりだ。ネット上の展開も考えなければならない。毎年一つは、新しい事に挑戦したい。

作業が遅れても01/01/09
夕方から、雨が降り始めた。これが雪なら二日連続でかなりの積雪になるところだった。もちろん、剪定作業は出来ないので確定申告の準備でもしようかな。甲府農場のデラウエアとピオーネの剪定を終え、早く芽を出すための休眠期打破の処理を1月中にする予定だったが、無理だろう。生育期の作業の流れと収穫時期を考えるとピオーネだけ処理するのがいいかもしれない。生産と販売が一体なので、作業が遅れても対応できる。

新年総会01/01/10
出荷組合の新年総会があった。高齢化と後継者不足で、弱体化が進み将来の展望もない。この地域に農地もなく、出荷もしていないので、十分な協力も出来ない。今後どう維持していくのか、それだけの存在である。
取引業者と話をしたが、こうした弱体化の中で、商売をしなければならない事の難しさを痛感しているようだ。今までのようには、いかないと皆が思っている。「逆境こそ、チャンスだ。」の言葉が励みになる。

印刷01/01/11
「気」についてを印刷し数人の人に配布しました。要約したものなので、自分自身のテキストとして、活用すればもっと掘り下げて話す時に都合がいい。すべてを言葉にするのは、時間的に難しい。とりあえず、そういう内容に興味がある人にとっては、共感できるようだ。実は、私の話を聞きたいという人がいるので今後は、より活用してゆくつもりだ。

書けなくなった訳01/03/23
日本の農業の行方を書き続けて来たが、最近、書けない日が何日かあった。私が、個人的に頭を悩ます必要のないことに巻き込まれ、時間と精神的な負担を強いられてしまったからである。農業経営に関する問題であるが、面倒だからと諦めてしまえば、本来あるべき権利さえも放棄したと見なされたことだろう。このことについて詳しく話をした方がいいのか、私自身もまだ結論を出せる状態ではない。しかしながら、権利は、個人が主張しない限り誰も守ってくれない。幸にも、これまで農業関係の役職を幾つかを歴任してきたことから、力となってくれる人も多く、この難局を乗り切れそうである。自分の利益を主張するのではなく、どれだけの権利が保証されるか否かの確認を適正に求めただけの事であるが、様々な軋轢が見えてきた。

お笑いの吉本を見に行った01/03/24
吉本興業が甲府にやって来たので、親父と二人で見に行った。S席だったので期待していたが、60列ある中の37列目で桂三枝が6cm、池乃めだかは、4cmぐらいの大きさだった。両サイドのスクリーンをずっと見ていたが、休憩を挟みながら12時から5時30分まで、さすがに長く感じた。若手からベテラン、人気スターと芸の違いがこれほどかと素直に驚いた。恒例の落語鑑賞も4月下旬に、上野の鈴本に行くことにした。母が亡くなり、早13年、親父とは、海外旅行も何度か行ったし、親子で仲がいいとよく言われる。親父は物分りが良い方だから、ラスベガスとか落語とか好きな所に二人で行くのに特に抵抗がない。ずーと二人きりでは気持ち悪いが、お互い干渉しないようにしているのがいいのかもしれない。仕事は、昔から二人でするのがお互い息苦しかったようだ。周りが言うほど趣味が合うわけでもないし、親孝行してるつもりもないのだが、端から見ると仲が良いらしい。因みに、チケットは姉夫婦からのプレゼントでした。ありがとう。親父も喜んでいたよ。

4月になっても01/04/01
まだまだ寒いなぁ。昨日は、なごり雪だった。ふと、思ったことって、ふと忘れやすいので、ダラダラ続いているコラム、日本の農業の行方も三巻にまとめてみました。時々思いついたら、加筆して行くつもりだ。

雨よ降れ01/04/07
苗木の植付けをしているので、そろそろ雨がほしいところだ。4月1日の雪と翌日の-3度で、芽枯れなどの凍霜害が報告されているが、私のところでは、被害がないようで、ホッとしている。日中は、20度を越える暖かさであるが、今年は、まだ遅霜もありそうな気がする。特にリスクの高い促成栽培をしてないので安心しているが、雪の降り方や、3月の降水量の少なさとかでちょっと違うぞと、感じている次第である。

初夏のよう 01/04/10
午前中、境川農場で植付け、午後から、所用のため仕事を休む。今日は、かなり暑かった。境川農場は、粘土質で土もまだまだ固い。固い土と言ってもミミズも見かけるし、毎年、土も良くなってきている。ただ、乾燥しているので、水をやりながら植付けた。明日は、大きめの樹を移植をし、明後日から、ようやくチッパーの出番だ。作業日程を大幅に修正しながら何となく形になってきた。

10年目の結婚記念日 01/04/13
トップで紹介した「わが家の食卓がガラリと変わるたべもの発見ガイド」が、記念すべき今日届いた。我家のゴーヤーマンになるかもしれない。まだ全部読んでないが、丸谷さんの徹底取材による力作である。池川総合ブドウ園についても、正確な記述で、その確かな眼と感性に触れ、その評価は、身に余るものであり、感謝しています。
「本物を求めている人に、本物を届けたい。」と思っても一農家ではどうする事もできなかっただろう。登場する多くの食材は、市場流通から外れ、利益優先でなく、消費者の側に立っている。真剣に食に取り組む生産者が多くいることは、大きな励みである。これまでの私の道程を思い起こし、この本を読みながら、思わず涙を流してしまった。多くの生産者も同じ思いであろう。

境川のチッパーが終わる01/04/16
ようやく、境川農場のチッパ−作業(枝を粉砕する)が終わる。いつもは、冬の作業だったが、ぎっくり腰の影響で先送りしていた。父と二人で作業したが、かなり疲れた。ただ、エンジンのかかりがいいので、春先でもいいかなと思っている。技術を省力化してきたため、何とかここまで、雇用せずやって来れた。家族の負担も最小限に抑える事ができた。体調は、万全、明日から甲府のチッパー作業だ。萌芽の状態も良さそうで、霜の害もない。気力も充実、絶対、良い年にするぞ!

チッパー作業が終わる01/04/18
早い年には、2月中に終わる作業をようやく終了し、ホッとしている。しかも、今夜から明日にかけ雨が降ると言う。春先の雨は、その後の生育に大きな影響を与えるし、萌芽するには、植物成長ホルモンなどが絶妙のタイミングで作用しなければならない重要な時期である。植物も人間も大きなストレスの中で生みの苦しみを味わっているのだ。収穫後の状態が萌芽に現われ、その萌芽が収穫のほとんどを決定している。だから、植物にとって、何気ない春の雨は大きな意味を持つのだろう。

雨が降らず01/04/19
降るはずの雨が降らず、残念だ。おまけに昨夜から腹痛で何度も目を覚まし、仕事を休み、終日寝ていた。疲れもあるのだが、風邪の症状かもしれない。食欲もなく、意欲もない。こういう時は、思い切って休むのがいい。

充実した一日01/04/20
作業をするのに、一日でどのくらい出来るかおおよその見当をつけている。この位できればいいなとか希望的観測だけど、なんとなくこの位できればなといつも思っているわけ。それで年に何回か、予定以上に仕事ができた日があり、とても充実して、疲れも飛んで行くんだけど、今日がたまたまそんな一日で、昨日の体調の悪さはどこへ言ったのか、気分は爽快、ビールがおいしい。

自民党総裁選が面白い01/04/21
今までの常識なら、橋本さんになるはずが、小泉さんの予想以上の大健闘で総裁選が面白い。自民党支持者ではないが、日本の政治の方向性が変わろうとしている時だけに注目している。首相や政権が変わったりすれば、農業政策も大きく影響するし、経済の動向も気になる。一人一人の意識が従来の枠組みにとらわれない創造性を発揮しない限り、いよいよこのままではダメなのだと本気で思いはじめたのだろう。自己の利益に対する考え方が、変わって来たのだと思う。

かん水01/04/22
ぎっくり腰の影響で肥料かけも終わってなく、トラクターでの耕起もまだ。雨が降ってからと思っていたが、なかなか雨も降らないので、境川農場で、マイクロスプリンクラーで初かん水。シーズン最初に、機械関係を使うとトラブルになることが多いのだが、今日は何事もなく順調に進み、冬までにやる農場周辺の草刈も半分以上終わった。草刈は、春の方がいいよといっていた友人の話は、本当だった。来年からは、春先にしようと思う。ぎっくり腰のお蔭で仕事の順番も変わった。災い転じて福と為す。あらためて今までの常識って何だったのかと思う。

耕起01/04/23
境川農場で、トラクターによる耕起。かん水しながらの作業だった。タンポポやカラスノエンドウなど畑一面の草も同時に鋤き込む。土の状態は、予想通りというか、予想以上に良くなっている。リン酸ぼかしを施肥するつもりだったが、見送った。必要ないぐらい良さそうなのだ。草の状態や萌芽の状態から総体的に判断した結果である。今秋は、不耕起を予定しているが、何も心配がないだろう。土の力って本当にすごい、確実に良くなっているし、もっと良くなってゆくという予感がする。もちろん、ブドウももっと良くなるだろう。

目次へ

感想、意見などはこちらへ
hitoshi@ikegawa.com