雑感のコーナー・時々コラム

2002年のひとり言

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新年を迎えて 02/01/04
毎年、抱負とか、あまり考えない。ブドウ作りを20年以上していると、気が長くなる。
三年後、十年後を考えた上で、今年一年が成り立つ。
その一年も、自分の栽培管理や天候などに影響されるし、しかも収穫は、一度きりである。
品種を切り替えると安定するまで10年は、かかってしまう。
だから、「一年の抱負」より、「十年の抱負」
つまり、突き詰めると「どう生きるか」という事を考えてしまう。

どうする? 02/01/11
冬本番、寒さの中での剪定作業。
風が強い日や、曇り空の日を除くと剪定も順調に進んでゆく。
少しずつ日も長くなっているのを感じる。
まだまだ寒さは続くが、確かに春が近づいている。
いわゆる、農閑期でゆったりと時間を使っているのだが、
長い夜の過ごし方をもっと有効に使おうと思っている。

記録的な降雨量 02/01/22
よく降りました。甲府で1月としては、過去最高の46ミリの降雨量だった。
もし雪だったら、と思うとぞっとする。
この時期は、例年なら、典型的な冬型で、乾燥による凍害を心配するのだが、
このところ、大雪はあるし、天気の流れに大きな変化を感じる。
それよりも、生育期の天候も、影響を受けるはずだから、
それに対応できる栽培体系と管理を考えなければならないだろう。

久しぶりに 02/02/13
日本の農業の行方を読み返してみた。
小泉政権が成立し、その後、BSE問題やテロ、食品表示問題など
農業に係る大きな出来事が続いた。
コメントしたい時もあったが、私の予測は、特に修正する必要もなさそうだったので、
敢えて何も話さなかった。
しっかりと自分の道を進んでゆくつもりである。

掲示板 02/02/23
昨日と今日、農業関係の掲示板の色んなトビを長々と見ていた。
それに参加して、意見を述べるほど若くは無い。
と言う訳で、ここで簡単にコメントしてみる。
「農業は実践にある。」、「農業は、ビジネス」、「一に技術、二に人格、三に販売力」
「自己完結型農業を目指せ。」、「成長なくして、未来なし。」などが頭に浮かんだ。
農業に限らず、予想以上の速さで自然淘汰が進んでいる。
「あなたは、生き残れますか。」

悲しいな 02/03/07
食品の不正表示の問題が次から次へと明らかになってくる。
悲しいな。
利益追求のために、消費者を欺くなんて。
認証や検査をいくら厳しくしても、抜け道を探しているなら同じこと。

欠品や、売切れ、台風などの気象状況による前倒し、品質低下の為のドタキャンなど
いつも皆様に迷惑を掛けていた事を、どうぞご理解ください。

一年にたった一度の収穫だ。
「期待を裏切らないブドウ」と「こんな気持ち」をお届けしたい。

4月です。02/04/04
忙しかったぁ。甲府第一第二の工事と借入金の手続き、
申告と簿記の勉強会、競売による農地の取得だったので、
裁判所、法務局、市役所回りなど。
こんなに忙しい3月は、初めてだった。
桜や桃の花が早く、ブドウの生育もかつて無いほどの早さで、
とにかく、忙しかったぁ。
中旬に雨除けのビニールかけを残し、春の作業がほぼ終わる。

ソフト 02/04/12
先日、パソコンを購入し、ADSLも予約したのだ。
ところが、今まで使っていた顧客管理ソフトに、XP対応がなく、
しかも、98までの対応のままで、これ以上のバージョンアップの予定もないとの事。
全くやる気なしで、なんか騙された気がした。多少の不具合にも目をつぶって使っていたのに。
推奨のタックシールがどっさり残っているのに、これを使えるソフトもほとんどない。
「た○でん」ユーザーは、どうなることやら。
ただ、ネットで調べたところ、良さそうなソフトが見つかったので乗り換えるしかないか。

虫が多いぞ 02/04/24
雨除けの被覆も終わり一段落。境川農場で今年最初の農薬散布をした。
ようやく出てきた芽をケムシ類、ミノムシ、アカガネサルハムシなどが美味しそうに食べていた。
4回ほど丁寧に見回り、かなりの数を捕殺したのだが、被害が広範囲だったので、
思い切って、在庫の殺虫剤と天然資材のニームオイルと
試験を依頼されているアミノ酸を混用し、散布した。
甲府第一農場のデラウエアには、老木を中心にミズキカタカイガラムシが発生している。
やはり、捕殺をしているが、早めに防除することになりそうだ。
暖かい冬だったので、越冬する虫も多いのだろう。

5月です。 02/05/01
仕事は、忙しいのだが、精神的には、なんとなく、ゆとりがある。
ゆとりがあると言っても、頭の中は、かなり混乱している。
デラウエアの1回目のジベ処理日もまだ確定していない。5月6日頃か?
周辺では、農薬散布も始っている。化学農薬を使うべきか、否か。
もし使うとしたら、それは殺菌剤か、殺虫剤か?
在庫の農薬でいいのか?新農薬か?それとも、天然資材のボルドー液か?
使わないとしたら、葉面散布が必要か、否か。どんな葉面散布にするか?
そして、もう一度、この時期に、化学農薬を使わず乗り切れるか、否か。

たった1回の農薬散布でさえ、2週間ぐらい前から、ずーと考えている。
なるべく農薬を使わないということは、実に観察力と洞察力を高めてくれる。

生育報告1 02/05/12
デラウエアの1回目ジベ処理が終わり、満開期を迎えた。
生育状態は、極めて良好である。今年は、生育ステージが早く、処理前は、乾燥や高温もあり、
その上、天気予報も大外れで、管理が難しい年であった。
周辺農家は、早いジベ処理のため、花の状態が良くないようである。
デラウエアは、花の咲いている状態で、作柄の良し悪しが判断できる。
もちろん、それですべてが決まるわけではないが、花の状態が良いほうが、
余計な作業をしなくても、良いブドウに仕上がることは確かである。
「農業は、天気に左右されるから、大変だ。」というが、本当にそうだろうか。
天気を言い訳に、観察を怠り、努力を惜しむから、無駄な苦労をしているように思えてならない。

生育報告2 02/05/24
甲府上阿原第二農場のピオーネの1回目のジベレリン処理をした。
昨日、第一農場のベリーAの房作りを終えたので、
境川農場での作業に集中できる。甲府と境川の生育差が予測以上にあるが、
開花が始まったので、ピオーネの房作りを29日までに終わらせたい。
1回目のジベレリン処理の時期は、いつもより遅らせる予定である。
全般に生育は、一昨年、昨年より、良いように思われる。
ベリ−Aの一部に、アブラムシが少し見られるだけである。
このまま様子を見よう。少しの被害なら、多分、何もしない。

生育報告3 02/06/11
梅雨入りした。
先週で、すべての品種の房作りが終わった。
今は、甲府のピオーネの摘粒を中心に作業をしている。
デラウエアのカサかけ、ベリーAの摘心、
草刈も、中途半端に残っている。
かん水のホースもそのまま。

摘粒は、最も時間のかかる作業である。
3ヶ所の農場の生育状態を3日以内に観察している。
天気や生育状態に合わせて、優先順位を決め作業をする。
だから、必然的に、中途半端のままが多くなる。

以前は、きっちりと作業を終えていたのだが、
人の都合に合わせるより、ブドウの生育に合わせた管理の方が、
ずっと合理的だと思うようになった。

中途半端なままでも、かなり良さそう。しかも、すべての品種が。

お久しぶりです。02/08/02
なんと約2ヶ月ぶりのコラムになってしまった。もうデラウエアの収穫も終盤を迎えているし、
毎日、たくさんの注文をいただいて、嬉しい限りです。
ところで、このところ、すごい暑さが続いています。
夜、涼しくないといい色に仕上がらず、困るのです。特に、ピオーネ。
かん水しようかなと思ったところ、
今日は夕立がありました。なんか得した気分です。

秋の予感 02/08/09
連日35℃以上と、猛暑の中、朝、夕に栽培管理をしながら、
日中は、宅配の出荷をしている。

今日の朝、風と日差しと空気の匂いで秋を感じた。
身体全体で受け止める感覚だが、私には、しっかりと分かる。
夏の時もそうだった。季節の変わり目を敏感に感じるようになってきた。

秋を感じると、この強い日差しでさえ、どこか愛おしく思えてくる。
もうすぐ、実りの秋がやってくる。

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hitoshi@ikegawa.com

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