雑感のコーナー・時々コラム

2005年度の課題と反省

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05/11/12課題と反省@
ブドウの収穫は、10月下旬までに終わった。
今年の課題と反省として、まとめてみたい。
今年は、なるべく家族労働だけでやろうと考えたため、
一部栽培管理が行き届かなかった部分がある。
この地域の傾向には、特に触れずに分析したい。

全体としては、台風などの自然災害も少なく、収量が多く、豊作傾向であった。
品質的には、まずまずといったところだと思われる。
種あり品種は、大房で粒も大きく、予定収量を上回り、着色難があった。

まずは、デラウエア。
着色期を迎えても、酸の切れが悪く、収穫を遅らせた。
そのため、7月下旬の台風の雨で粒割れがあり、
結果的には、3割ほど廃棄した。
増産中のサニールージュがその分を補ってくれたので、
なんとか、切り抜けることができた。
旧盆需要には、必要な品種であるが生育が合わない年もあるので、
両品種をうまく組み合わせたい。

私としては、収穫前に草刈をせず、浅く耕起した事と
摘粒の甘さが原因だと考えている。
栽培面積も減少しているので、確実に仕上げるためには、
丁寧な摘粒をするしかない。
一部ゴマシオ傾向があったので、収量調節とマンガン補給を考えたい。

05/11/16課題と反省A
今年最大の成果は、ベニバラードである。
2年目ながら、素晴らしい結果を出してくれた。
熟期が8月上旬の極早生種でありながら、
皮ごと食べられる欧州系品種、品質も高い。
今年の観察から、安定生産が可能だと判断した。
8月から、9月までの赤系の中心品種に育てたい。
未知な部分もあるが、大きな期待がかかる。

05/11/18課題と反省B
甲府のピオーネは、着色困難な状況にありながら、順調に仕上がった。
若木で樹勢の弱い木は、、小粒傾向で当然着色は、良かった。
逆に、粒の大きなものは、大房で収量も多く、着色難も一部見られた。
栽培管理は、生育ステージに沿っていたため、摘粒時まで極めて順調であった。
病害虫は、心配するものは、特になく順調に推移したと思う。
生育初期での窒素不足と後半のマグネシウム欠乏を修正したい。
やはり追肥が必要である。第二農場のように地下水位が高いところでは、
窒素が流失しやすいと改めて感じた。
デラウエアと同じく、味の乗りがやや遅い傾向だったが、
品質的には、合格点を与えたい。
藤稔は、技術的な問題もクリアし、いよいよ増産体制に入る。

05/11/29課題と反省C
多摩ゆたか、翠峰、ハニービーナスなどの早生系黄緑色品種は、
それぞれの特性を生かしながら、当面は試作するつもりだ。
バラードは、将来性を感じないので淘汰する。
境川農場のピオーネについては、粒も大きく、大房になり、
その結果、やや着色難があったが、順調に推移したと思う。
今年は、いつも以上に房作り、摘粒を丁寧にしたので、
房形はおおむね良好であった。
より品質を上げるためには、着色期前の収量調節を徹底したい。
省力化を考えると、従来通りの房作りでよかったと思う。
房が多いと形の良い房を残せるが、摘粒、収量調節に余計労力がかかる。
4倍体種無し栽培では、ジベレリンの1回処理も検討したい。

06/02/01課題と反省D
甲府第一農場、雨除け栽培の欧州種は、
昨年度とは逆にロザリオ・ロッソの着色が良くなかったが、
ルビーは、やや着色難があったものの裂果がなく、品質もまずまずだった。
カイジは、やや小房傾向であったが、特に問題なし。
ロザリオ・ビアンコは、果皮の汚れもほとんどなく品質も良かったが、
収量も増えてきたので、果粒の小さなものは、摘房すべきであった。
アレキサンドリアは、まずまずの出来であった。
新しく導入した品種の中では、瀬戸ジャイアンツが注目される。
種無し栽培で、手が掛かるが品質が良く裂果もなさそうなので、
引き続き試作を続けてみたい。ただ、熟期とか省力化とかを考えると
増殖するほどの価値はないと思われる。

06/04/12課題と反省E
ベリーAは、大房になり、また、摘粒をしなかったため、結果過多だった。
あんぽ柿の生産を控えているので、10月10日頃でブドウの販売を終了するため、
今後は、8月に収穫できる品種として、藤稔、ベニバラードに一部を改植することにした。
甲府第一農場は、標高が低く、着色が悪い傾向があるが、早場地帯なので、
その特色を生かした品種構成を考えている。
昨年から、生産者を限定したワインを生産するための原料としての販売も決まったので、
新しい楽しみも増えた。


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